■あらすじ

ギデオン(第6話に登場)に関して、ナルシシズムがあるから操りやすく、「切り裂き魔と思い込ませた」と洗脳を認める会話するレクター博士とチルトン博士。

一方悪夢を観てはうなされ、本人の知らない所で脳炎に冒され症状が悪化するウィルは次第に妄想と真実、夢と現実の区別さえつかなくなってゆく。

 

《今回の殺人事件:ギデオンの脱獄》

ギデオンは自らを「切り裂き魔」だと洗脳し看護師を殺させたとしてチルトン博士を訴えると言い出す。裁判所への移送が始まるが、途中で付き添いの係員達3人を殺し、ギデオンは逃走する

奴は自分が何者なのかわからなくなってきている、と血管で内臓を枝に吊るした事件の様相を観てウィルは分析する。切り裂き魔なら臓器を持ち去るはずで、ギデオンは本物の切り裂き魔の気を引こうとしている(同時に人格も引き裂かれてしまっている)と。

 

<レクター博士とウィルのセラピー>

捜査協力を続けるが、幻覚や幻聴はますますひどくなり「自分が何者か分からない、少しづつ変わっていく気がする、他の誰かに」と博士に打ち明けるウィル。正気を失い自分がわからなくなってしまうことを恐れるが、ギデオンもそれが怖いのではないかとも分析する。誰か(チルトン博士)が頭のなかを引っ掻き回したから。

「ギデオンは切り裂き魔を見つけて自分が何者かを確かめたいんだ。君には私がいる」と優しく語るレクター博士だった。

 

<ギデオンの狙いについて、そしてアラーナ>

被害者の脳をかき混ぜていることから、「頭を引っ掻き回された」と感じているに違いないギデオンは過去の精神医療担当者達を狙う可能性があるとウィルとジャックは考える。そしてアラーナ・ブルーム博士もその1人だった。護衛がついたアラーナを訪ねるウィル。熱っぽい、と言われてストレスのせいだと答える(実際は脳炎である)。

ギデオンの行動は外部からの影響によるもの、自分にも責任があると考えるアラーナ。彼は自分を理解するために切り裂き魔を探していると考えるウィル。ただし、おそらく見つかれば切り裂き魔はギデオンを殺すだろうと。

 

<ラウンズ記者の拉致と第四の遺体>

ギデオンに関する論文を書いた精神科医、カラザース博士からの電話を受けるフレディ・ラウンズ記者。共同執筆しようと誘われて呼び出された先で待ち構えていたのは、博士を殺し喉から舌を取り出したギデオンだった。

精神科医の遺体を前に「舌の新しい使い道を与えた」と分析するウィル。血液はすべて抜かれて袋に詰められていた。これらはすべて切り裂き魔へのアピールである。そこへ「切り裂き魔再び」と最新の写真がついた記事がアップロードされ、ラウンズ記者がギデオンに拉致されたことをジャックらは知る。

ギデオンはラウンズを、ミリアム・ラスの腕が見つかった天文台に軟禁していた。ラウンズに描かせた記事を見て切り裂き魔は必ず動くだろうと考え奴を待つ。一方、「切り裂き魔の心の闇」と題された新しい記事を眺めるレクター博士だった。

 

<第五の事件>

2年前の「切り裂き魔」の調査でギデオンに面会したことのあるナーン博士(精神科医)が殺され、舌を引きずり出されて見つかった。これはカラザース博士の殺害をラウンズ記者の記事をなぞって行われたように見えるが、一点右腕の切除だけが余計であり、これは「切り裂き魔」自身による犯行であるとウィルは分析する。

ギデオンは現在単独で行動していない(ラウンズがいる)ため、リスクを犯さない切り裂き魔は「右腕」を切り取ることでミリアムの右腕が見つかった場所にギデオンがいることを示唆しているのだと。

 

<チルトン博士への暴行事件>

一方ギデオンはチルトン博士を拉致し、天文台でラウンズと共に開腹手術を行っていた。「俺の脳をかき混ぜた代わりに腹をかき混ぜてやる」とチルトン博士の臓器を次々に取り出すギデオン。追うジャック達。

いよいよ天文台まで(切り裂き魔からのヒントのおかげでだが)及ぶ捜査の手、突入するとそこには腸を掻き出されてなんとか息をするチルトン博士と治療するラウンズがおり、ギデオンは逃亡。

一方外で待っていろと言われたウィルはまたも黒い牡鹿の幻覚を見る。そして逃亡するギデオンは車に乗り込み、後部座席に銃を構えたウィルを見つける。

 

<レクター博士とウィル、そしてギデオン>

ウィルは「何が現実か判断できない」ままに銃で脅したギデオンをレクター博士の診療所に連れてくる。彼の目にはギデオンが自ら殺したギャレット・ホッブスに見えていた。博士は「誰もいない、きみはひとりで来た」と告げ、白目を向いて高熱を出すウィルから銃を取り上げる。

意識を失うウィルを横に、「切り裂き魔を語っているのは君か?」とはじめてギデオンと向き合うレクター博士。自己を奪われたギデオンにレクター博士はアラーナ・ブルーム博士の居場所を教える。

目を覚まして「ホッブズを一緒にいた」と言うウィルに「熱のせいで幻覚を見た、妄想に侵されるな、(妄想のホッブズが苦しめてくるなら)また殺せばいい」と告げる博士は、アラーナのもとへ向かったふりをしてウィルの前に銃を置いていく

 

<ギデオンとウィル>

ウィルは妄想に取り憑かれたまま銃を手にアラーナの家へ向かうが、そこには外から彼女を眺めるギデオンの姿があった。

「切り裂き魔と思い込んでいたから、もう自分が何者かわからない」取り戻せないとギデオンは語るが、その姿はやはりウィルにはホッブズに見える。「人と関係を築けない人間がいる、私と君がそうだ、妄想から抜け出さないかぎり」と語るギデオン。「抜け出したい」というウィル。

アラーナを殺せばもっと切り裂き魔のことを理解し、彼のように自分自身を保てるのではないかと呟くギデオンを、ウィルは何者なのかもわからないまま撃つのだった。

 

<ジャックとレクター博士>

チルトン博士は瀕死の重体、ウィルは40度近い熱を出し白血球も通常の2倍だが感染源がわからない。「彼に銃を持たせるべきではない」と心配する素振りを見せるレクター博士に「それでもギデオンを仕留めた、心配ない」とジャックの意見は食い違う。

「私はウィルがどんな人間が知っている、だが経験で人は変わってしまう」と語るレクター博士。これもまた彼の策略の一端であり(そもそも銃を持たせるなと言っているが今回銃を持って追いかけさせたのは博士である)、彼の舌には相変わらず見えない毒が潜んでいる。

 

<レクター博士とベデリア先生>

ウィルが入院する傍ら、自らのセラピーで「彼(ウィル)の危うい心に惹かれている」ことを否定するレクター博士。彼は私に似ている、壊れた心も適量ならば薬になるとも言い張る。ウィルに奇妙な友情を感じている博士に、距離をとるべきだと諭すベデリア先生であった。

 

***

 

第6話以来ギデオンとチルトン博士が再登場する第11話。テーマは「自分が何者か(を見失う)」だろうか。ギデオンとウィルは同じ状態に陥りどちらも苦しむこととなるが、原因はウィルは脳炎、ギデオンはチルトン博士やカウンセラー達からの洗脳である。

それにしても殺人者に拉致されても「あなたの望むように書くわ、何でも言って」と動じないラウンズ、相変わらず肝の据わった赤毛の悪女である。(だいたいあんな恐ろしい手術によく立ち会えるな)

今回大変な目に遭ったチルトン博士だがギデオンは洗脳による被害者でもあり、ウィルもまた博士の歪んだ友情というか愛の被害者(「液体のように不安定」だと己を感じるウィルは内心まだ自分が病気であることを疑っている。かわいそう)なのだが、それにしてもウィルの症状が末期過ぎて心配になる11話であった。もう日常生活全然営めてない。